コラム

祭祀・形見分け・葬式費用・弔慰金と相続

この記事では、人が死亡した際の祭祀、形見分け、葬式費用、弔慰金と、法律上の相続について、日野市で相続手続・遺言作成を支援する行政書士の大槻卓也が解説します。

系譜・祭具・墳墓の承継

系譜・祭具・墳墓の3つまとめたものを祭祀(さいし)といいます。

この承継については、民法によって特別な扱いを定められています。

系譜とは、血族関係を記した図を指し、一般的には家系図と呼ばれています。

祭具とは、位牌(いはい)や仏具を指します。

墳墓とは、遺体や遺骨の埋葬などをする施設を指します。

とくに、墳墓を管理するための施設は墓地と呼ばれています。

これら祭祀については、その性質上、相続人同士で分割することが適切とは言えないため、民法では個人(被相続人)が祭祀を承継する人を指定していた場合を除いて、祭祀は慣習に従って「祭祀を承継するべき者」が承継すると定めています。

故人による指定がなく、慣習も明らかでない場合には、祭祀を継承する人を家庭裁判所が定めます。

遺骸・遺骨、形見分けの取扱い

個人や先祖の遺骸や遺骨は、祭祀に含まれませんが、不動産や預金口座などのように分け合うものではありません。

最高裁判例は、遺骸や遺骨は祭祀承継者が管理するとの立場をとっています。

また、故人が生前使用していた腕時計や万年筆などを、故人の象徴する“形見”として、相続人同士などで分け合うことがあります。

故人の所有していたものは、原則として相続財産に含めるため、故人による遺言がなければ、遺産分割の手続きが必要になります。

しかし、相続財産に含める必要性が低い物(価格が比較的安い物)については、形見分けという慣習が尊重されます。

比較的財産としての価値が高い物は、形見分けの対象に含めるべきではなく、相続財産に含めて、遺産分割の手続きによって分け合うことが必要となります。

葬式費用の負担割合

民法では、相続に関する費用を、故人の相続財産から支出することを認めています。

ただ、葬式に必要な費用は、故人の死後に発生する費用ですので、原則として喪主が負担する費用であると考えられていますが、相続人同士で話し合い、相続財産から費用の全部または一部を支出することも認められています。

弔慰金も相続税の対象になる場合があります

故人の葬儀の際に、喪主などが香典弔慰金(ちょういきん)を受け取る場合があります。

香典は、葬儀費用に充当する目的で渡される金銭です。

弔慰金は、故人を弔い、遺族に対する慰めとして渡される金銭です。

これらの金銭は、故人の相続財産には含まれず、相続税の課税対象にはならないのが原則です。

ただし、相続税法により、

①受け取った弔慰金などが故人の勤務先から実質的な退職手当金として交付されたと考えられる場合

②業務上での死亡で、故人の普通給与の3年分に相当する金額を超える金額が支給された場合

などは例外的に相続税が課税されるので注意しましょう。